2009年4月16日木曜日

魚類免疫学080528+080604Q&A

V領域遺伝子断片の再構成やクラススイッチが起きるとゲノムが徐々に短くなるが、抗体の生成に関与しない領域に変異は起きるか?

短くなると言っても、ゲノム全体からすれば非常に僅かな変化です。抗体遺伝子の外では基本的にはそのような変異はほとんど起こらないでしょう。

 

年齢によって産生されるIgクラスの比率が変わるか?

加齢によってクラススイッチが起こりにくくなるなどの、免疫系の機能低下が起こるそうです。

 

抗体の多様性がV,D,J遺伝子断片の組合せによって生じる以外に、塩基の無作為な挿入や点突然変異によって生じたとしても、それはたった1個のB細胞でしか起こらないことで、その後そのような変異をもった抗体は十分には作れないのではないか?

もしその点突然変異や塩基挿入によってより望ましい(たとえばより高い結合力を持つなど)抗体が得られたとすると、それを産生するB細胞がより活発に分裂・増殖し、その抗体を多量に合成できるようになります。

 

ストップコドンが二つあるときにはそれらがどのように使い分けられるのか?

最初のストップコドンのみが意味をもち、それ以降はそもそも翻訳されないのでどんなストップコドンも意味ありません。

 

B細胞の成熟度によって、産生できる抗体の種類が変わるのか?

抗体のクラス、膜型/分泌型が変化する可能性があります。

 

IgG1IgG3などサブクラスの違いは?

C領域(定常領域)のアミノ酸配列が5〜20%異なり、補体活性化能などに違いが見られます。

 

IgDが転写・翻訳される仕組みは?

選択的mRNAスプライシングによって、上流のCμ遺伝子部分がイントロンと見なされて除去されたのちにIgDとして翻訳されます。

 

寄生虫館は日本に一つ(目黒)だけ?

よくわかりませんGoogleしてみて。

 

VDJの遺伝子組換えを発見したのは利根川進、クラススイッチの機構の解明に大きく貢献したのは本庶 佑、IgEを発見したのは石坂公成。

詳細はたとえばこんなページを参照してみて。

http://www.brh.co.jp/s_library/j_site/scientistweb/no37/index.html

http://www.brh.co.jp/s_library/j_site/scientistweb/no35/index.html

 

なぜ、DJ間の組換えがVD間の組換えよりも先に起こるのか?

理由はわかりません。

 

一度選択されずに(ボツになった)抗体を産生するB細胞は、別の異物に対して復活して抗体を作る可能性はあるか?

あります。基本的には、自己抗体などのように有害な抗体を産生するクローン以外は少数ながら残り、別の抗原刺激を待ち受けています。

 

IgMの五量体構造はジスルフィド結合によって維持されているのか?また、IgAの二量体はどうか?

→両方ともYes.

 

魚類にもBCRTCRが存在するか?するとしたら哺乳類のBCRTCRとどう違うか?

存在しますが、どのように機能が異なるかについてはあまりよくわかっていません。君が研究してみない?

 

近交系を使うと何処まで個体間の遺伝的差異をなくすことができるのか?

全ゲノムが完全に一致する程ではないが、基本的にほぼ同じゲノム組成をもつと判断して良い程度。

 

Cγのサブクラスの遺伝子配置は、なぜCγ3, Cγ1, Cγ2, Cγ4という順番なのか?また、サブクラス間の違いは?

番号は発見順。遺伝子配置は後から判明しました。

 

白血病の治療に利用される造血幹細胞移植において、移植可能な(拒絶の起こらない)確率が10万人に1人だという場合、なにが合うという意味か?

MHCというタンパク質の配列がぴったり合うかどうか、という意味です。→6/11の話題。

 

VDJの遺伝子組換え→ゲノムDNA上で起こる非可逆的なDNAの編集(切り取り)

IgM(膜型/分泌型)やIgDの産生→mRNAの選択的スプライシング

 

Autograft(自己移植片)は原理的には100%生着します。ただし、組織が傷んでいると生着しにくくなるでしょう。

 

IgZIgT)がもし血清中に存在するとしたら、どんな働きをするのか?

わかっていません。研究してみない?

 

免疫応答にはなぜB細胞とT細胞の両方が必要なのか?

深い問いです。一言では理由を答えられません。ただ、全ての抗体産生応答にT細胞が関与しなければならないわけではありません。

 

Xenograftの移植が成功した例はあるか?

人間には臨床的には試みられていません。サルなどを使って、ブタの臓器移植が実験されています。まだ完全生着には至っていないそうです。

 

TCRはすべて膜結合型です。

 

ヒトと魚類の抗体の違いによる免疫機能の違いは?

よくわかっていません。研究してみない?

 

抗体が作られるたびにゲノムが取り除かれていくといつかは抗体が作れなくなりそう。

抗体遺伝子の一部の領域が除かれるのは、1〜2回だけです。

 

B細胞は体細胞分裂するか?

末梢血を流れる成熟B細胞はほとんど分裂しませんが、特別な刺激を受けると体細胞分裂できる状態に変化します。

 

マウスでは近交系を作っても奇形は出ないのか?

よく知りませんが、きっと奇形もたくさん出てるんではないでしょうか。数少ない成功例が現在利用されているだけで。

 

スプライシング、クラススイッチ、点突然変異などで、自己に反応する抗体が生まれる可能性はあるか?

点突然変異によって自己反応性の抗体に変化する可能性もあるでしょうね。

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