2009年5月20日水曜日

魚類免疫学Q&A090520

ほ乳類の赤血球に核がないのはなぜか?
こちらより引用。
なぜ赤血球は無核なのだろうか。これも進化的に説明できる。無核の赤血球は哺乳類の特徴である。温血動物で酸素運搬機能に特殊化した結果なのだ。哺乳類の赤血球は他の動物の血球に比べて小さいし、それ自身の代謝活性が低く、エネルギーをあまり消費しない。細い毛細血管を通して体のすみずみにまで、酸素を運ぶことが可能なのである。

ほかに、核がない分、体積に比較して表面積が広く、細胞内外の酸素の交換に有利、という説明もあります。

魚類のリンパ球による食作用は、好中球の食作用と同じように行われるのか?また、貪食した異物を分解し、マクロファージのように抗原を提示するのか?
基本的に同じ。貪食したら活性酸素も作って殺菌する。抗原提示するかどうかはまだ未解明。
参考文献:Li J, Barreda DR, Zhang YA, Boshra H, Gelman AE, Lapatra S, Tort L, Sunyer JO. B lymphocytes from early vertebrates have potent phagocytic and microbicidal abilities. Nat Immunol. 2006 Oct;7(10):1116-24.

リンパ球がビーズを貪食したことがフローサイトメトリーでわかるか?
わかります。フローサイトメトリーで、前方散乱光も側方散乱光も弱い「リンパ球」集団について、蛍光ビーズの蛍光強度を測定すれば良い。

ラテックスを細胞が取り込んだら、その細胞が死んでしまうことはないか?
好中球は死んでいくでしょうが、マクロファージやB細胞は死なないでしょう。今のところ、食べ過ぎて破裂して死んだ、という細胞を見たことはありません。

ほ乳類と魚類のそれぞれにおいて、リンパ球とマクロファージ間の関連がよくわからなかった。
ほ乳類では、(1)侵入してきた異物(菌)を好中球やマクロファージが貪食する。(2)マクロファージは、貪食して分解した異物由来の分子(主にペプチド)を細胞表面に戻して提示(=抗原提示)。(3)提示された抗原をリンパ球が認識して、その抗原に対する特異的な獲得免疫応答が始まる、という流れです。
魚類では、少なくとも(1)に(たぶん(2)にも)Bリンパ球も参加すると予想されています。

好中球やマクロファージは自らが産生した活性酸素でダメージを受けないのか?
鋭い質問です。特に好中球はこれがおこります。好中球自身のみならず、周りの宿主細胞にもダメージを与えることが知られています。マクロファージでは、おそらく活性酸素を消去する酵素の働きで、自らに激しい障害を与えることはないそうです。

フローサイトメトリーとFACSの違い?
Flow Cytometory=FACS=fluorescence activated cell sorting
FACScanはベクトン・ディキンソン社のこの解析装置の登録商標。
参照ページ:http://www.bc-cytometry.com/

好中球の寿命が短いのは何か理由があるのか?
<調査中>

なぜマクロファージがプラスチック製のビーズを異物として認識するのか?
鋭い質問。答えはわかりません。プラスチックを特異的に認識する受容体がある訳ではない。(ほかには、炭素粒子=墨汁の墨粒も貪食される)
こちらの解説には、
白血球はまた、ラテックスビーズな
ども貪食します。この場合には異物表面の電荷が問題になります。細胞表面のシアル酸は
負の電荷を帯びています。それゆえ、正の電荷を帯びたラテックスビーズなどは静電的に白
血球に結合し、これが貪食を誘導します。

とありますが、ラテックスビーズ=ポリスチレンビーズなので、ポリスチレンには電荷はないはず。
(ところで、単にラテックスといったら合成ゴムのことをさす。たとえばラテックス手袋とか。語源はこちら。)

顆粒球が多形核をもつ意味はなにか?
<調査中>

白血球は(プラスチック)ビーズを取り込んでも分解できない気がする(→その通り!)。分解できない物は白血球はどうしているのか?
そのまま細胞内(ファゴリソゾーム)にとどまるでしょう。魚類では、そんなマクロファージは徐々に体表に移動し、やがて体外に捨てられるそうです。

好中球とマクロファージの間の感染局所への集合速度の違いは、それらの構造上の違いに由来しているのか?
<調査中>

なぜ、魚類ではBリンパ球に食作用があるのか? 魚類にあってほ乳類にない理由は?
はっきりとはわかっていません。現在の仮説は、「Bリンパ球とマクロファージは、進化的には食作用を備えた共通の祖先細胞に由来し、魚類ではB細胞に分化しても、祖先の性質が色濃く残っている」というものです。魚類ほど強力ではありませんが、両生類のB細胞にも食作用活性が認められるそうです。

好酸球の駆虫活性とは?
こちらに解説があります。
蠕虫類の感染において、虫の排出する抗原が、T細胞(Th2)や肥満細胞を活性化させ、それらの細胞からインターロイキン4(IL-4)が作り出され、その結果、B細胞から抗体(IgE)が作り出されます。IgEは抗原とともに肥満細胞に脱顆粒を起こさせ、好酸球を虫の近くに集合させます。寄生虫の周囲で、好酸球は抗体や抗原の作用によって、脱顆粒を起こし、リソゾーム物質、主要塩基性蛋白、活性酸素を放出して、寄生虫を処理しようとします。これを抗体依存性細胞傷害作用(Antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity: ADCC) と言います。そのために、蠕虫感染の場合には、血液中のIgE が上昇し、また、好酸球数が増加します。


蛍光強度と細胞数の関係がわかると何に役立つのか?
たとえば、今回話した蛍光標識ビーズの貪食活性ならば、どれほどの貪食活性を示す細胞がどれくらいの割合で存在するかがわかり、その活性の高い細胞濃度によって、(たとえば魚の)病原菌に対する防御活性を推し量ることができます。

海水魚は海だけでしか生きられず、淡水魚は淡水でしか生きられないのはなぜか?
調べてみて。キーワードは「浸透圧調節」。ちなみに、海水・淡水どちらでも生活できる魚種もかなりあります。参考文献はこちら

ピタゴラスイッチに出てくるような装置を(講義で)作りましょう。
ハハハ、、、、と受け流しときます。代わりにアルゴリズムマーチはいかが?


ピタゴラスイッチのメロディーが頭から離れません。
そんな君にはだめ押しにこちら。


こんなのもいかがか?

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