感染してから感染細胞による抗原提示を阻害するウイルスが存在するか?
調べた限りではそのようなウイルスの振る舞いに関する報告・記事はありませんでした。ただし、ウイルスの複製が非常に活発で感染細胞を早期に殺してしまうと、感染細胞が抗原提示を十分にできないことが考えられます。
免疫抑制剤の作用メカニズムは?
様々な物質の様々な作用を利用して免疫を抑制しています。
・ステロイドホルモン類:炎症性サイトカインの産生を抑制
・細胞毒性薬:リンパ球の増殖を抑制(ただし他の細胞の増殖も抑制して副作用強い)
・特異的シグナル伝達阻害薬:リンパ球の活性化に必要な細胞内シグナル伝達を阻害
・抗サイトカイン:細胞ではなく、サイトカインに直接作用して免疫応答を阻害
MHCクラスIIによる抗原提示は、リソゾーム酵素が働かないと損なわれるのか?
ペプチドなどの小分子に消化できなければMHCクラスIIには提示できないので、損なわれるでしょうね。リソゾーム酵素の欠損は、免疫応答不全以外にも重篤な欠損症を引き起こすそうです。
http://www.glycoforum.gr.jp/science/word/glycopathology/GD-A05J.html
TCR、CD4、MHCなどはひとつの細胞にたくさん発現しているのか?
千分子を超える数の分子が発現しています。また、発現量は、細胞の活性化に伴ってダイナミックに、大幅に(時には10倍以上の幅で)変化します。
移植の時に、MHCの型が少し違う程度ならば大丈夫、ということだが、その「少し」とはどの程度か?
TCRによって認識されるMHC分子内の領域(約100アミノ酸程度)の中で、1〜2アミノ酸が違う程度ならば、免疫抑制剤の併用によって生着させることができる、という例がありますが、その変異がどの部位なのかにも影響されます。特によく見分けられる部位が変わると、それはより強い異物としてのシグナルとなります。違いをアミノ酸の数だけでは決定できない場合が多いそうです。
TCRの可変部(V領域)の多様化のメカニズムは?
基本的には抗体と同じ。
MHCが遺伝子の突然変異で変化するとT細胞に認識されなくなる?
そのような事はほとんど起こらないでしょうが、認識されなくなる、というよりは自己のMHCではなく、異物として認識されるようになる、と考えられます。もちろん抗原を提示することはできなくなるでしょうね。
抗原提示の図中でCD3の機能がよくわからなかった。
CD3は、TCRと会合して、TCRが正常な構造を保つのを助けますが、直接抗原提示には関与しませんので、あえて詳しく説明しませんでした。TCRが抗原提示を受けた後に、T細胞内に活性化シグナルを伝達するのにCD3は必須です。
T細胞はどのようにしてMHCを自己のものかどうか見分けているのか?
MHC分子の頂上にある、2列のαヘリックス部分の構造で自己か非自己かを見分けています。この部分の何カ所かのアミノ酸が、個体によって異なります(多形性がある)。
パーフォリンはどのように作用するのか?
補体のC9と同様に、膜侵襲複合体に類似した構造物を標的細胞膜に形成して、その細胞を障害します。
輸血では拒絶反応はない?
赤血球表面には、MHCクラスIもクラスIIも発現していないので、いわゆる組織適合抗原の型が不一致であることに由来する拒絶反応はありません。ABO式やRh式などの血液型が合えばOKです。
ヘルパーT細胞が抗原提示細胞から抗原提示を受けるときのTCRとCD4の役割りをもう一度整理して欲しい
CD4は相手のMHCがクラスIIであることを認識(MHCクラスIIに特異的に結合)。TCRはMHCが自己のMHCであること、およびそのMHCに載っている抗原が非自己であることを一括して認識します。
MHCクラスIとIIの細胞膜への固定のされ方の違いがなぜ生じたか?
理由はわかりません。
ヘルパーT(CD4陽性)はMHCクラスIIから、細胞障害性T(CD8陽性)はMHCクラスIから、それぞれ抗原提示を受ける、という対応関係に例外は無いのか?
例外はあります。クロスプレゼンテーションと呼ばれています。(日本語だと交差提示?)たとえば樹状細胞が細胞内で分解した抗原を、クラスIIではなくクラスIに載せて提示する、とか。どんな抗原だとこれが起こるのか? なぜ起こるのかなどはまだまだ研究途上です。
naive(ナイーブ)の意味に5へぇ
基本的に褒め言葉ではないのですが、日本語の中ではしばしば「デリケート」に近い意味として誤用されてます。サイエンスの中での用例としては、「この仮説はまだナイーブだが、、、(まだまだ未熟できちんと検証されていない仮説だが、という意味)」など。
I型アレルギーを起こしやすい人は、Th0からTh1への分化が起こりやすい?
概略としてはそのように解釈されています。もちろんそれだけでは説明できないでしょうが。
I型のアトピー性皮膚炎とIV型のアトピー性皮膚炎はどう違う?
IgEが関与するのがI型、IgEは無関係で、細胞障害性T細胞やマクロファージが集まって炎症となるのがIV型です。
炎症が起きている部位がX線を通しにくいのはなぜか?
細胞が密に詰まっている部位は、X線を通しにくく、白く見えます。炎症部位は、白血球が集積しているので、白く映ります。
ワクチンの効果はどれくらいの期間続くのか?
ワクチンの種類によって異なります。理由には不明な点が多いですが、免疫が長続きしない最も大きな要因は、病原体側が少しずつ構造を変えて進化していることが挙げられます。マラリア原虫のように表面構造を頻繁に変える病原体に対しては、有効なワクチンが未だに確立されていません。
II型やIII型のアレルギーは、Th1/Th2バランスで左右されるか?
II型で自己抗体が産生されている場合はTh2に異常に傾いていると考えられます。III型にはあまり関係ないでしょう。
ヒト以外で花粉症にかかる動物はいるか?
イヌ、猫もかかるそうです。きっとIgEと肥満細胞を持つ点で共通する哺乳類はみんな潜在的に花粉症になる素養があるのでしょう。
I型アレルギーには必ず肥満細胞が関与するか? 肥満細胞が関与するメカニズムは?
肥満細胞の代わりに好塩基球が関与することもあります。両細胞共に、表面にIgE受容体を発現し、IgE抗体を特異的に結合する能力を持ち、結合したIgEに抗原がさらに結合すると、ヒスタミンなどを含む細胞内顆粒を放出します。
Th2に傾くとIgE産生が増えるのはなぜ?
Th2はクラススイッチを活発にするサイトカインを多く分泌するので、IgEへのクラススイッチが起きやすくなるという説明が成されていますが、なぜ特にIgEにクラススイッチしやすく成るのかは十分に解明されていません。
IgE以外の抗体クラスはアレルギー発症には関与しないのか?
I型はIgEのみで起こりますが、II,III型はIgM,IgGで起こります。
後天的にアレルギー体質になることはあるか?
あります。サイトカインの分泌バランスが崩れて、Th1/Th2バランスに影響すると解釈されています。
蕁麻疹は必ずしも全身ではなく局所だけで起こることがあるのはなぜか?
蕁麻疹は、肥満細胞から放出されたヒスタミンによって起こる浮腫なので、ヒスタミンを放出した肥満細胞が分布する局所に限定されることが多いです。
II型アレルギーとIV型アレルギーの実質的な違いは?
II型は、抗体が認識する抗原が自己である場合。IV型は抗体が関与せずリンパ球、マクロファージが抗原侵入部位に集まって起こる過度な炎症。
III型アレルギーは腎臓以外はどのような臓器で起こるか?
あらゆる血管壁で起こる可能性があります。
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