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2009年4月16日木曜日

魚類免疫学080709Q&A

-モーツァルトは何にでも効くのか?

さあ… よくわかりませんが、いろんな本が出てますね。

http://www.google.com/search?client=safari&rls=ja-jp&q=和合 モーツァルト&ie=UTF-8&oe=UTF-8

 

-胃や肺に顆粒球が集まりやすいのならば、肺や胃の手術の後は他の部位を手術した後よりも炎症が酷いのか?

というよりは、胃や肺自身をいじらなくても、顆粒球が胃や肺に集まりやすい、ということが特徴的で、胃や肺自身を切ればもちろん集まりやすいでしょう。

 

-ワクチンやアジュバントの投与自体がストレスとなって免疫能を低下させることがあるか?

よい指摘です。きっとそのような面があるでしょう。魚の取扱いは大変です。

 

-ストレスと内分泌系や神経系との関係について研究している研究室が九大農にあるか?

魚について言えば、水族生化学分野でも扱うチャンスがあるでしょう。哺乳類では、食糧化学で扱うかなぁ。おもしろいバイトに、森林セラピーの被治験者というのがありました。森林でリラックスしたあとに、唾液中の免疫関連成分濃度を測るようです。この研究は、森林資源科学専攻と関係があるようですよ。

 

-逆に免疫能を低下させる音楽があるのか?

あはは。おもしろい指摘です。あるでしょうね。きっと。趣向に著しく会わない音楽は良い効果を与えないと思います。音楽ではなくでも、すごくストレスになる音ってありますよね。

 

-性成熟(ステロイドホルモン濃度の上昇)と抗体量の増減との関係にどのような意味があるのか?

これが魚種によって異なるってのが紹介した内容でした。ニジマスでは両者は反比例したのに対し、金魚ではそのような免疫抑制的な効果は見られなかった、ということです。

 

-モーツァルトのどの曲がよいのか?

目的によって違うようですよ。

http://www.universal-music.co.jp/classics/refresh/mozart_music_therapy/uccg3615_7.html

注)私(中尾)は、音楽療法の全てを信じているわけではないので、誤解無きように。おもしろがってはいますが。今後のさらなる証明が楽しみだと思っています。

 

-顆粒球が増加すると自己の組織を傷つけるメカニズムがよくわからなかった。顆粒球は外来の異物を主に殺すはずでは?

顆粒球は活性酸素を産生して放出します。異物を貪食したときはそれは、ファゴリソゾーム中に出されますが、細胞外にも漏れ出てきます。一旦細胞外に出た活性酸素は、自己非自己関係なく膜脂質やタンパク質など、多くの生体物質を過酸化してしまいます。III型アレルギーの原因がこれです。

 

-人間以外にもガンはあるか?

哺乳類はもちろん、鳥類、爬虫類、両生類、魚類に悪性腫瘍は存在するようです。サメは???一説にはないと言われていますが、本当かなぁ?

 

-音楽療法を植物に試したら、モーツァルトを聴かせた植物の生長が本当に良かった、という経験がある。

それはすごいですが、どれほど厳密な対照をとって行った実験なのかを知りたいですね。(いえ、ケチを付けている訳じゃないですよ。誤解無きように。)ところで、私の知り合いは、ゼブラフィッシュに水中スピーカーで音楽(モーツァルトだっけか?)を聴かせて、その免疫能が向上するかどうかを調べていました。が、はっきりとした結果はでなかったように伝聞しています。おもしろい研究課題ではあります。

-体内の60%を占める水はバロック調の音楽にとても反応を示すので、バロック調の曲を聴くと体力の回復が良いと聞きました。

水がバロック調の音楽に反応する、っていう意味がわかりません。

反応すると体力の回復がよい、というロジックもわかりません。

でも、現象としてはおもしろいな。科学を学ぶ者としては、この種の「もっともらしい」話しに疑問をもって、本質に迫る態度を養いましょう。

 

-受験勉強の時に、親からモーツァルトを聴くことを薦められたことがある。

やっぱ結構有名なんですね。その手の話し。W先生は知り合いですが、本がたくさん売れてるみたいでうらやましい。なんちゃって。

 

魚類免疫学080702Q&A

病原性を発揮する成分の遺伝子のみを欠損させた強毒株とはどういう意味か?強毒性だったらワクチンにはならない(投与すると発病する)のではないか?

もともとは強毒株であった菌体から、遺伝子組換えを用いて毒性に関連する分子をコードする遺伝子を除去した、という意味です。毒性と免疫原性(免疫応答を引き起こす強さ)は必ずしも比例するわけではないので、毒性を失わせた菌株でもワクチンとして機能することが期待されます。

 

免疫賦活剤をアジュバントとして利用することはできるか?

できるものもあります。もともとアジュバントは、抗原提示細胞を非特異的に活性化させる能力を持つ者があります。

 

なぜ原核生物由来のプラスミドが魚類のRNAポリメラーゼを機能させてタンパク質を発現させることができるのか?

原核生物に由来するプラスミドでも、真核細胞で機能するプロモーター配列を組み込めば、真核細胞のRNAポリメラーゼを働かせて遺伝子の転写・翻訳を行うことができます。

 

タンパク質以外の抗原にはどんな物があるか?

多糖、脂質などいろんな物質が抗原になり得ます。中には、金属やある種のプラスチックも抗原となる場合があります。それらの抗原の構造がT細胞にどのように提示されるかは不明な点が多いのが現状です。

 

β-1,3-グルカン投与魚/非投与魚間でmRNA(cDNA)サブトラクションをするのに、投与魚と非投与魚で採取した細胞(組織)が腹腔滲出白血球/腎臓白血球のように異なっていても問題はないのか?

あの実験の場合は大きな問題にはなりませんでした。腹腔滲出細胞が腎臓から移動してきた細胞であることがほぼわかっていましたから。ただし、この種の実験では、何から何を引くか?という実験デザインが非常に重要で、そこに注意を払う姿勢は大変よろしい。

 

経口投与では投与量に個体差は生じないか?

各個体に均一な量のワクチンや免疫強化剤を投与することは非常に困難です。そもそも餌の摂取量を均一にすることさえ難しいし、抗生物質にも同じ事が言えます。

 

水産用ワクチンはどれくらい普及しているのか?

ワクチンが市販されている病気について、それを使っていない養殖業者はほとんどいないでしょう。水産試験場などの公的機関も、抗生物質を投薬するくらいならワクチンを予め投与しておくことを強く推奨しています。

 

免疫強化物質の効果もワクチンのように投与法によって異なるのか?

異なります。ワクチンと同様に、注射法>浸漬法>経口投与法の順に効果が高い傾向があります。

 

免疫強化物質の作用は魚種によって異なるか? また、その作用はどれくらい非特異的なのか(どれくらい広い範囲の病気に有効なのか)?

魚種による作用の差は質的にはあまりないと考えられますが、最適投与量が異なる可能性が高いですね。また、ある種の免疫強化物質(例えばβ-1,3-グルカン)は通常、グラム陰性菌の感染症とグラム陽性菌の感染症の両方に防御効果を示しますが、ウイルス感染をも防ぐことができるかどうかについてはまだ検討中です。(2,3の成功例はある。)

なぜ魚の造血組織は腎臓なのか?

 

β-1,3-glucan、アルギン酸ナトリウム以外に免疫賦活物質はあるのか?

研究室レベルでの結果を含めて、効果が認められている免疫賦活物質には次のようなものがあります。

1)菌体・菌体成分[β-グルカン、トルラ酵母処理物、結核菌死菌、ミヤイリ菌など]、2)多糖体[キチン、レンチナン(椎茸)、シゾフィラン(スエヒロタケ)、オリゴ糖]、3)動植物成分[ホヤ抽出液、キラヤサポニン、ホタルイカ抽出液など]、4)栄養素[ビタミンC、ビタミンA、ビタミンE]、5)生体成分(タンパク質)[ラクトフェリン、成長ホルモン、リゾチーム]。

  

アルギン酸ナトリウムの人体に及ぼす影響は?

食べても非常に安全性の高い多糖であると認識されていますが、体内に直接投与するとさまざまな生理作用を示し、とくに強い炎症誘起作用を示します。

 

アルギン酸ナトリウムのコイに対する免疫賦活作用を示すグラフで、投与量40 mg/kg体重で下がった効果が50 mg/kgで再び上昇しているのは何故か?

一番右のバーは、熱水抽出物全体の濃度として50 mg/kg体重を投与した場合です。熱水抽出物が、アルギン酸ナトリウム純度(相対濃度)が低いにもかかわらず、純粋なアルギン酸ナトリウムよりも高い効果を示した理由は、、、可能性を考えてみて下さい。

 

なぜアジュバントや免疫賦活剤にキノコや海藻由来のものが多いのか?

おそらく多糖類に効果がある場合が多いためと、特にキノコの場合はほぼ間違いなくβ-1,3-グルカンを含んでおり、それはひろく自然免疫を活性化する性質があるからだと思います。

 

免疫賦活剤の投与量が過剰だと効果が下がる理由は?

スルドイ質問です。まだ答えは得られていません。一つの可能性としては、好中球やマクロファージを過剰に活性化させて、過剰生産された活性酸素が周りの組織(特に細胞膜脂質)を傷つけて機能不全を招くのではないか、と考えられていますが、十分な証拠はありません。まだ仮説のひとつ、です。

 

mRNA(cDNA)サブトラクション実験の原理を知りたい。

最新の方法は下記のマニュアルに解説されています。

http://www.clontech.com/images/pt/PT1117-1.pdf

 

免疫強化物質の適正量が個体によって異なる理由を詳しく知りたい。

はっきりとはわかりませんが、免疫強化物質を認識する受容体の発現量、その下流で活性化されるさまざまな免疫関連因子の濃度や活性などに個体差があるからだと考えています。

 

DNAワクチンが機能する仕組みは?

DNAワクチンにコードされている抗原遺伝子が、DNAワクチンを取り込んだ細胞内で転写・翻訳され、その翻訳産物(=抗原タンパク質)がMHCクラスIを介して抗原提示されて免疫応答を引き起こし、免疫記憶を誘導します。

 

水産用ワクチンを対象魚以外の魚に投与するとどんな悪影響があるのか?

第1に、同じ種の細菌・ウイルスでも細かく見ると魚種によって病原性をしめす株が違います。菌やウイルスの株(型)が異なるとワクチンとして有効性が激減します。第2に、魚種によって適正投与量がことなるので、他魚種用を使い回すと投与量の制御が難しくなります。第3に、あるワクチンが有効であることがデータで証明されないと認可がおりません。ワクチンの代謝、消失などの速度も魚種によって異なるので、他魚種用のワクチンを流用すると投与した魚に於けるワクチンの残留量などを把握することができず、食品衛生面で問題となります。

 

魚類免疫学080625Q&A

浸漬法ではワクチンはどこから魚体内に入るのか?

体表の上皮細胞に取り込まれる、鰓の上皮細胞に取り込まれる、鰓から直接血液中に取り込まれる、ワクチン液を飲み込んで消化管から取り込まれるなどのルートです。

 

うちの家族はおたふくかぜに2回罹ったが、、、、

実はそのような例外が時々起こります。原因は不明ですが、1回目の感染が弱くて免疫系の刺激が十分でなかった、1回目と2回目の病原体が変異によって若干異なっていた、などが考えられます。私も風疹に2回罹りました。

 

DNAワクチンはなぜ他のワクチンよりも高い効果を示すのか?

特にウイルスに対しては、その他の種類のワクチンではなかなか活性化されにくい、細胞性免疫が効果的に刺激されるからであると解釈されています。ただし、全ての病原体に対して常にDNAワクチンがベストである訳ではありません。

 

なぜ経口ワクチンの効果は低いのか? ワクチンが消化吸収されたり消化管内で変性・分解されるからか?

スルドイ質問です。経口投与されたワクチンが消化管内で分解・変性されやすいのは事実です。そのために、病原体をマイクロカプセルやリポソーム(人工の脂質二重層膜)で包むこともあります。

ワクチンの効果判定は複雑です。各病原体の本体の感染・侵入門戸における免疫(局所免疫)を強くしてやるのがもっとも効果的なはずで、多くの魚病菌は消化管内にとどまって消化管を感染門戸としています。それなのに、経口ワクチンがなかなか効かない理由は未だに明らかにされていません。ワクチン側の構造や組成の問題なのか、それとも魚の免疫機構がそもそもそのような性質(腸管免疫が先天的に弱い?)なのかさえもわかっていません。この点をみても、むやみにワクチンを開発しようとしてもダメで、魚の免疫機構自体をきちんと理解することが重要であることがわかります。

 

魚類ワクチンの認可はどんな機関がどのような手順で行うのか?

大学、製薬企業、公的試験期間(水産試験場)などが有効性や魚体への安全性などに関するデータを集め、独立行政法人水産総合研究センターに認可申請します。主に、そのセンター内の養殖研究所において審査が行われ、認可が決定されます。

DNAワクチンの作り方は? 働くメカニズムは?

動物細胞(通常は哺乳類の細胞)で働くプロモーター(サイトメガロウイルル(CMV)由来がよく使われる)を含むプラスミドベクターに抗原遺伝子を挿入して作成します。できるだけ必要最小限の要素だけを含むように、ワクチン用にデザインされた発現ベクターを利用する場合が多いそうです。これはが魚の細胞内に入ると、CMVプロモーターが細胞内のRNAポリメラーゼを働かせて転写・翻訳を促進し、抗原タンパクが合成されます。また、プラスミドはバクテリアで複製させて作りますが、原核生物から取り出したDNA自体が、免疫細胞を活性化させる働きもあります。

 

ワクチンを接種するのになぜ魚を麻酔する必要があるのか? 魚の麻酔はどのように行うのか?

魚が暴れると安全に注射できないし、魚自体にも傷がついて様々な病原体の感染を受けやすくなります。また、過度なストレスが魚にかかると、魚の免疫能が落ちることが知られています。

麻酔には、キナルジン、フェノキシエタノール、MS-222、オイゲノールなどがありますが、オイゲノール製剤が養殖魚用の認可されています。炭酸ガスによる麻酔法もあるそうですが(特許情報有り)、実用化されているかどうかはわかりませんでした。

http://www.echigo.ne.jp/~miyakoya/szi03041.htm  オイゲノールを含む麻酔薬FA100

http://bcnranking.jp/news/0602/060210_3382.html  炭酸ガスによる麻酔

 

アジュバントが免疫応答を促進させるメカニズムは?

アジュバントは、抗原そのものとは別に、抗原提示細胞やB/T細胞を非特異的に活性化します。カビ、酵母、細菌に由来する細胞壁成分(ある種の多糖やリポ多糖)にそのような作用が認められています。また、物理的に抗原を吸着し、その抗原を長期にわたってゆっくりと放出するような物質もアジュバントとしての機能があります。単独だと短時間に分解・代謝されてしまうようなタンパク質などの抗原に有効です。

 

自ら不活化ワクチンあるいは弱毒ワクチンを選択できるのか?(人間の場合)

両方の種類が市販されているときは選択できるでしょうが、そんな例はほとんどありません。有効性と安全性のバランスからどちらかが認可されています。

 

抗体産生の二次応答ではIgMが一次応答よりも低いレベルにとどまるのは何故か?

どんな抗原にもいつもそのような応答が起こるとは限りません。考えられる理由として、すでにIgGなどを産生するためにクラススイッチを終えた記憶細胞がただちに増殖して抗体産生細胞に分化するので、IgM産生細胞の増殖がむしろ抑制されている可能性があります。また、IgM産生の記憶細胞自体が相対的に少ない可能性もあります。

 

養殖魚1匹1匹に注射法でワクチンを投与しているのか?

注射の場合はそうです。作業量を軽減するために、連続注射器が用いられます。欧州では自動注射マシンも開発されています。

 

ワクチン接種した魚は食品として安全か?

通常ワクチンは可食部を避けて投与されます。また、不活化ワクチンには感染性は全くないし、弱毒ワクチンも魚体内には長くはとどまらないでしょう。さらに、弱毒ワクチンが想定されているウイルスの場合は、魚類に感染するウイルスはヒトには全く感染しない(生育可能温度の違いなどの要因)でしょう。

 

なぜ病原体を不活化してもワクチンとして働くのか?

抗原となるような分子が残っていれば、その病原体が死んでいても獲得免疫応答を起こすことができます。ただし、加熱や化学処理によって、抗原分子の構造が大きく変わった場合は、それに対して免疫応答して記憶細胞が残っても、実際に感染する生きた病原体の構造が異なるために、ワクチン効果が発揮されない場合があります。

 

同じビブリオ病不活化ワクチンで、アユ用、サケ科魚類用、ブリ用の間で何が異なるのか?

魚種によって、例えば同じVibrioでも異なる菌株(種内の変異体)が病原体となっているためです。

 

不活化ワクチンを接種してその病気が発症してしまうことは全くないのか?

不活化ワクチンでは病原体(細菌・ウイルスなど)は完全に殺してあるので、感染・発病する可能性はありません。

 

ヒト用のDNAワクチンを作ることは可能か?

可能です。実用化に向けて開発が競われています。安全性などを確立しないといけませんが。

 

魚の治験はどこで行われているか?

主に、大学や水産試験場などの公的機関です。感染性の病原体が環境中に漏れでないように特別にデザインされた水槽・飼育設備が必要です。(九大にはない-_-)

 

DNAワクチンが体内に残留する期間は魚種によって異なるか?

異なります。したがって魚種毎に、季節毎に(様々な水温で)残留期間を求める必要があります。結構たいへん。

 

ペプチドワクチンの原理がわかりにくかった。

タンパク質性の抗原はペプチドに分解されてMHCによって提示されることで、免疫応答を引き起こすので、最初からそのペプチドそのものをワクチンにしようという試みです。まだ実用化には至っていませんが、うまくいけば、どんな配列でも人工的に合成できるという利点があります。

 

DNAワクチンは、細胞の核内DNAに組み込まれなくてもタンパク質の合成を行うことができるか?

核内に組み込まれる必要はありません。DNAワクチンであるプラスミドの中に転写を活性化するプロモーターが仕込んであります。

 

どのような基準で水産用ワクチンが認可されるのか?

有効性、魚に対する安全性・残留性、そしてその魚を消費する人間に対する安全性が主な基準です。

 

魚に経口ワクチンを投与する場合に、投与量をきちんと設定・制御できるのか?

ある集団(100〜数千尾)の魚としてみれば、1尾当たりの投与量を設定することは可能です。ただし、実際の摂取量に個体差は生じます。これを許容するかどうかは、コスト(努力量)と効果のバランスで考えるべきでしょう。

 

魚体内に投与されたDNAワクチンはどのように代謝されて消えていくのか?

通常DNAワクチンは動物の細胞内では複製されにくいので、細胞の分裂・再生によって徐々に濃度が薄まっていきます。また、細胞内で徐々にヌクレアーゼによる消化を受けるでしょう。

 

九大でも魚類ワクチンを開発しているか?

ワクチン全体の開発は行っていません。ワクチンの効果を高めるアジュバントの作用機構を解析したり、アジュバント分子のデザインを研究しています。

魚類免疫学080611-18Q&A

感染してから感染細胞による抗原提示を阻害するウイルスが存在するか?

調べた限りではそのようなウイルスの振る舞いに関する報告・記事はありませんでした。ただし、ウイルスの複製が非常に活発で感染細胞を早期に殺してしまうと、感染細胞が抗原提示を十分にできないことが考えられます。

 

免疫抑制剤の作用メカニズムは?

様々な物質の様々な作用を利用して免疫を抑制しています。

・ステロイドホルモン類:炎症性サイトカインの産生を抑制

・細胞毒性薬:リンパ球の増殖を抑制(ただし他の細胞の増殖も抑制して副作用強い)

・特異的シグナル伝達阻害薬:リンパ球の活性化に必要な細胞内シグナル伝達を阻害

・抗サイトカイン:細胞ではなく、サイトカインに直接作用して免疫応答を阻害

 

MHCクラスIIによる抗原提示は、リソゾーム酵素が働かないと損なわれるのか?

ペプチドなどの小分子に消化できなければMHCクラスIIには提示できないので、損なわれるでしょうね。リソゾーム酵素の欠損は、免疫応答不全以外にも重篤な欠損症を引き起こすそうです。

http://www.glycoforum.gr.jp/science/word/glycopathology/GD-A05J.html

 

TCR、CD4、MHCなどはひとつの細胞にたくさん発現しているのか?

千分子を超える数の分子が発現しています。また、発現量は、細胞の活性化に伴ってダイナミックに、大幅に(時には10倍以上の幅で)変化します。

 

移植の時に、MHCの型が少し違う程度ならば大丈夫、ということだが、その「少し」とはどの程度か?

TCRによって認識されるMHC分子内の領域(約100アミノ酸程度)の中で、1〜2アミノ酸が違う程度ならば、免疫抑制剤の併用によって生着させることができる、という例がありますが、その変異がどの部位なのかにも影響されます。特によく見分けられる部位が変わると、それはより強い異物としてのシグナルとなります。違いをアミノ酸の数だけでは決定できない場合が多いそうです。

 

TCRの可変部(V領域)の多様化のメカニズムは?

基本的には抗体と同じ。

 

MHCが遺伝子の突然変異で変化するとT細胞に認識されなくなる?

そのような事はほとんど起こらないでしょうが、認識されなくなる、というよりは自己のMHCではなく、異物として認識されるようになる、と考えられます。もちろん抗原を提示することはできなくなるでしょうね。

 

抗原提示の図中でCD3の機能がよくわからなかった。

CD3は、TCRと会合して、TCRが正常な構造を保つのを助けますが、直接抗原提示には関与しませんので、あえて詳しく説明しませんでした。TCRが抗原提示を受けた後に、T細胞内に活性化シグナルを伝達するのにCD3は必須です。

 

T細胞はどのようにしてMHCを自己のものかどうか見分けているのか?

MHC分子の頂上にある、2列のαヘリックス部分の構造で自己か非自己かを見分けています。この部分の何カ所かのアミノ酸が、個体によって異なります(多形性がある)。

 

パーフォリンはどのように作用するのか?

補体のC9と同様に、膜侵襲複合体に類似した構造物を標的細胞膜に形成して、その細胞を障害します。

 

輸血では拒絶反応はない?

赤血球表面には、MHCクラスIもクラスIIも発現していないので、いわゆる組織適合抗原の型が不一致であることに由来する拒絶反応はありません。ABO式やRh式などの血液型が合えばOKです。

 

ヘルパーT細胞が抗原提示細胞から抗原提示を受けるときのTCRとCD4の役割りをもう一度整理して欲しい

CD4は相手のMHCがクラスIIであることを認識(MHCクラスIIに特異的に結合)。TCRはMHCが自己のMHCであること、およびそのMHCに載っている抗原が非自己であることを一括して認識します。

 

MHCクラスIとIIの細胞膜への固定のされ方の違いがなぜ生じたか?

理由はわかりません。

 

ヘルパーT(CD4陽性)はMHCクラスIIから、細胞障害性T(CD8陽性)はMHCクラスIから、それぞれ抗原提示を受ける、という対応関係に例外は無いのか?

例外はあります。クロスプレゼンテーションと呼ばれています。(日本語だと交差提示?)たとえば樹状細胞が細胞内で分解した抗原を、クラスIIではなくクラスIに載せて提示する、とか。どんな抗原だとこれが起こるのか? なぜ起こるのかなどはまだまだ研究途上です。

 

 

naive(ナイーブ)の意味に5へぇ

基本的に褒め言葉ではないのですが、日本語の中ではしばしば「デリケート」に近い意味として誤用されてます。サイエンスの中での用例としては、「この仮説はまだナイーブだが、、、(まだまだ未熟できちんと検証されていない仮説だが、という意味)」など。

 

I型アレルギーを起こしやすい人は、Th0からTh1への分化が起こりやすい?

概略としてはそのように解釈されています。もちろんそれだけでは説明できないでしょうが。

 

I型のアトピー性皮膚炎とIV型のアトピー性皮膚炎はどう違う?

IgEが関与するのがI型、IgEは無関係で、細胞障害性T細胞やマクロファージが集まって炎症となるのがIV型です。

 

炎症が起きている部位がX線を通しにくいのはなぜか?

細胞が密に詰まっている部位は、X線を通しにくく、白く見えます。炎症部位は、白血球が集積しているので、白く映ります。

 

ワクチンの効果はどれくらいの期間続くのか?

ワクチンの種類によって異なります。理由には不明な点が多いですが、免疫が長続きしない最も大きな要因は、病原体側が少しずつ構造を変えて進化していることが挙げられます。マラリア原虫のように表面構造を頻繁に変える病原体に対しては、有効なワクチンが未だに確立されていません。

 

II型やIII型のアレルギーは、Th1/Th2バランスで左右されるか?

II型で自己抗体が産生されている場合はTh2に異常に傾いていると考えられます。III型にはあまり関係ないでしょう。

 

ヒト以外で花粉症にかかる動物はいるか?

イヌ、猫もかかるそうです。きっとIgEと肥満細胞を持つ点で共通する哺乳類はみんな潜在的に花粉症になる素養があるのでしょう。

 

I型アレルギーには必ず肥満細胞が関与するか? 肥満細胞が関与するメカニズムは?

肥満細胞の代わりに好塩基球が関与することもあります。両細胞共に、表面にIgE受容体を発現し、IgE抗体を特異的に結合する能力を持ち、結合したIgEに抗原がさらに結合すると、ヒスタミンなどを含む細胞内顆粒を放出します。

 

Th2に傾くとIgE産生が増えるのはなぜ?

Th2はクラススイッチを活発にするサイトカインを多く分泌するので、IgEへのクラススイッチが起きやすくなるという説明が成されていますが、なぜ特にIgEにクラススイッチしやすく成るのかは十分に解明されていません。

 

IgE以外の抗体クラスはアレルギー発症には関与しないのか?

I型はIgEのみで起こりますが、II,III型はIgM,IgGで起こります。

 

後天的にアレルギー体質になることはあるか?

あります。サイトカインの分泌バランスが崩れて、Th1/Th2バランスに影響すると解釈されています。

 

蕁麻疹は必ずしも全身ではなく局所だけで起こることがあるのはなぜか?

蕁麻疹は、肥満細胞から放出されたヒスタミンによって起こる浮腫なので、ヒスタミンを放出した肥満細胞が分布する局所に限定されることが多いです。

 

II型アレルギーとIV型アレルギーの実質的な違いは?

II型は、抗体が認識する抗原が自己である場合。IV型は抗体が関与せずリンパ球、マクロファージが抗原侵入部位に集まって起こる過度な炎症。

 

III型アレルギーは腎臓以外はどのような臓器で起こるか?

 あらゆる血管壁で起こる可能性があります。

魚類免疫学080528+080604Q&A

V領域遺伝子断片の再構成やクラススイッチが起きるとゲノムが徐々に短くなるが、抗体の生成に関与しない領域に変異は起きるか?

短くなると言っても、ゲノム全体からすれば非常に僅かな変化です。抗体遺伝子の外では基本的にはそのような変異はほとんど起こらないでしょう。

 

年齢によって産生されるIgクラスの比率が変わるか?

加齢によってクラススイッチが起こりにくくなるなどの、免疫系の機能低下が起こるそうです。

 

抗体の多様性がV,D,J遺伝子断片の組合せによって生じる以外に、塩基の無作為な挿入や点突然変異によって生じたとしても、それはたった1個のB細胞でしか起こらないことで、その後そのような変異をもった抗体は十分には作れないのではないか?

もしその点突然変異や塩基挿入によってより望ましい(たとえばより高い結合力を持つなど)抗体が得られたとすると、それを産生するB細胞がより活発に分裂・増殖し、その抗体を多量に合成できるようになります。

 

ストップコドンが二つあるときにはそれらがどのように使い分けられるのか?

最初のストップコドンのみが意味をもち、それ以降はそもそも翻訳されないのでどんなストップコドンも意味ありません。

 

B細胞の成熟度によって、産生できる抗体の種類が変わるのか?

抗体のクラス、膜型/分泌型が変化する可能性があります。

 

IgG1とIgG3などサブクラスの違いは?

C領域(定常領域)のアミノ酸配列が5〜20%異なり、補体活性化能などに違いが見られます。

 

IgDが転写・翻訳される仕組みは?

選択的mRNAスプライシングによって、上流のCμ遺伝子部分がイントロンと見なされて除去されたのちにIgDとして翻訳されます。

 

寄生虫館は日本に一つ(目黒)だけ?

よくわかりません。Googleしてみて。

 

VDJの遺伝子組換えを発見したのは利根川進、クラススイッチの機構の解明に大きく貢献したのは本庶 佑、IgEを発見したのは石坂公成。

詳細はたとえばこんなページを参照してみて。

http://www.brh.co.jp/s_library/j_site/scientistweb/no37/index.html

http://www.brh.co.jp/s_library/j_site/scientistweb/no35/index.html

 

なぜ、DJ間の組換えがVD間の組換えよりも先に起こるのか?

理由はわかりません。

 

一度選択されずに(ボツになった)抗体を産生するB細胞は、別の異物に対して復活して抗体を作る可能性はあるか?

あります。基本的には、自己抗体などのように有害な抗体を産生するクローン以外は少数ながら残り、別の抗原刺激を待ち受けています。

 

IgMの五量体構造はジスルフィド結合によって維持されているのか?また、IgAの二量体はどうか?

→両方ともYes.

 

魚類にもBCRやTCRが存在するか?するとしたら哺乳類のBCRやTCRとどう違うか?

存在しますが、どのように機能が異なるかについてはあまりよくわかっていません。君が研究してみない?

 

近交系を使うと何処まで個体間の遺伝的差異をなくすことができるのか?

全ゲノムが完全に一致する程ではないが、基本的にほぼ同じゲノム組成をもつと判断して良い程度。

 

Cγのサブクラスの遺伝子配置は、なぜCγ3, Cγ1, Cγ2, Cγ4という順番なのか?また、サブクラス間の違いは?

番号は発見順。遺伝子配置は後から判明しました。

 

白血病の治療に利用される造血幹細胞移植において、移植可能な(拒絶の起こらない)確率が10万人に1人だという場合、なにが合うという意味か?

MHCというタンパク質の配列がぴったり合うかどうか、という意味です。→6/11の話題。

 

VDJの遺伝子組換え→ゲノムDNA上で起こる非可逆的なDNAの編集(切り取り)

IgM(膜型/分泌型)やIgDの産生→mRNAの選択的スプライシング

 

Autograft(自己移植片)は原理的には100%生着します。ただし、組織が傷んでいると生着しにくくなるでしょう。

 

IgZ(IgT)がもし血清中に存在するとしたら、どんな働きをするのか?

わかっていません。研究してみない?

 

免疫応答にはなぜB細胞とT細胞の両方が必要なのか?

深い問いです。一言では理由を答えられません。ただ、全ての抗体産生応答にT細胞が関与しなければならないわけではありません。

 

Xenograftの移植が成功した例はあるか?

人間には臨床的には試みられていません。サルなどを使って、ブタの臓器移植が実験されています。まだ完全生着には至っていないそうです。

 

TCRはすべて膜結合型です。

 

ヒトと魚類の抗体の違いによる免疫機能の違いは?

よくわかっていません。研究してみない?

 

抗体が作られるたびにゲノムが取り除かれていくといつかは抗体が作れなくなりそう。

抗体遺伝子の一部の領域が除かれるのは、1〜2回だけです。

 

B細胞は体細胞分裂するか?

末梢血を流れる成熟B細胞はほとんど分裂しませんが、特別な刺激を受けると体細胞分裂できる状態に変化します。

 

マウスでは近交系を作っても奇形は出ないのか?

よく知りませんが、きっと奇形もたくさん出てるんではないでしょうか。数少ない成功例が現在利用されているだけで。

 

スプライシング、クラススイッチ、点突然変異などで、自己に反応する抗体が生まれる可能性はあるか?

点突然変異によって自己反応性の抗体に変化する可能性もあるでしょうね。