2009年6月10日水曜日
魚類免疫学Q&A090603
ある程度オーバーラップします。全てのB細胞が一度にそろってクラススイッチしてしまうわけではないので。
すべての抗体は膜型と可溶型が存在するのか?
IgMとIgDのみ。
膜型と可溶型の機能の違いは?
抗原特異性に変わりはないが、たとえば膜型抗体は補体を活性化することはできないし、B細胞以外の細胞に認識されることもない。
魚にもアレルギーがあるか?
わかりませんが、細菌感染によって出血性の激しい炎症が起きる場合があるので、あれは一種のアレルギーでしょう。ただしIgEはないので、哺乳類で起きる「I型アレルギー」はないでしょう。(アレルギー反応の詳細は後の授業で触れるはず。)
クラススイッチが起こる条件・メリットは?
条件:つよい抗原刺激(たとえば感染状態)が続くこと。
メリット:抗体が働く部位・産生する部位に適した機能をもつような抗体のクラスを作ることができることがメリットと考えられます。
IgMよりもIgGが優れている点は?
大量に合成されて血中に放出されること。胎盤を通過できること。ある種のリンパ球やマクロファージを活性化して抗体依存性の細胞傷害反応(異物の細胞を殺すこと)を誘起できること、など。また、一般的にIgMよりも抗原に対する結合親和性が高い抗体に変化している場合が多い。
花粉症ではなかった人も、後天的に花粉症になることがあるが、なぜか?
おそらく、クラススイッチを制御する機構がだんだんと不全になって、IgEを作るようになってしまうからでしょう。(自分でも是非調べてみてください。)
サイトゾルとは?
細胞質内の、細胞内小器官以外の液体部分。
http://ja.wikipedia.org/wiki/細胞質基質
L鎖のLeader領域は何のために存在するのか?
L鎖を細胞外に分泌させるためのシグナルとして働く。
IgMのサイズは、IgE5個分くらいのサイズか?
サイズはおよそそれくらい。
スライド3のFig. 2の膜型抗体の左右にある膜蛋白質分子は何か?
詳しくは述べませんが、膜型抗体(別名BCR)には細胞内に活性化シグナルを伝達するための分子が会合しています(MB1、B29、非受容体型チロシンキナーゼなど)。それらが図の中に含まれていました。
抗体は自分自身で作ったものしか働かないか? 食べたら分解されるか? 注射したら?
他の個体から抗体をもらって働かせることができます。ヒトγグロブリン製剤はヒトの抗体を静脈内に点滴して、感染症を防ぐために使われます。また、ヘビ毒に対するウマ抗血清(抗体を含むウマ血清)は、ハブ、マムシ、コブラなどの毒ヘビに噛まれたときの救命用に注射されます。ただし、ウマ抗体はヒトにとって異物なので何度も打つことはできません。抗体を食べたら消化されますね。例外はIgA(プロテアーゼに抵抗性)。だから、IgAを含む母乳を飲むと、母親で成立していた免疫の恩恵を赤ちゃんが受けることになります。だから、乳児はそれほど感染症にならない。
硬骨魚類でIgM産生細胞がIgTを作れないことはわかったが、その逆はなぜ不可能なのか?
するどい質問!! まだわかっていません。
魚類免疫学Q&A090527
Ig = immunoglobulin (免疫グロブリン)
D:全く不明。
M:巨大分子であることから(当初はmacroglobulinと呼ばれていた)。
G:血清タンパクの電気泳動における移動度からγ-globulinに分類されるため。
A:血清タンパクの電気泳動における移動度からβ2A-globulinと呼ばれていたため。
E:アレルギー性皮膚反応のErythema(紅班)を媒介することで発見されたので、そのEをとって。
*機能の違い
IgG:ヒト免疫グロブリンの70-75%を占め、血漿中に最も多い抗体である。血管内外に平均して分布する。補体活性化能を持つ。
IgM:ヒト免疫グロブリンの約10%を占める。通常血中のみに存在し、感染微生物に対して最初に産生され、初期免疫を司る免疫グロブリンである。補体活性化能が高い。
IgA:IgAはヒト免疫グロブリンの10-15%を占める。分泌型IgAは2つのIgAが結合した構造を持つ。IgA1は血清、鼻汁、唾液、母乳中に存在し、腸液にはIgA2が多く存在する。
IgD:ヒト免疫グロブリンの1%以下である。B細胞表面に存在し、抗体産生の誘導に関与するらしいが詳細は不明。
IgE:ヒト免疫グロブリンの0.001%以下と極微量しか存在しない。寄生虫に対する免疫反応に関与していると考えられるが、寄生虫の稀な先進国においては、特に気管支喘息やアレルギーに大きく関与している。
IgMなどの大きな抗体は最初からこの形に合成されるのか、それともIgGのような小さな単位がいくつか集合してできるのか?
分泌されるときにS-S結合がかかって五量体になります。
魚の抗体産生が環境水温で変動するということは、魚の抗体産生にとっての最適温度があり、その温度だと魚の寿命も延びるのか?
最適温度はあるでしょうが、寿命が延びるかどうかは不明。
ツベルクリンで結核に罹ったことがあるかを調べるということだが、気づかないうちに結核に罹っている、ということがあるのか?
あります。感染しても発病するとは限らないので。
授業が魚類免疫学なのに、魚の話しが出てこないのは少し残念。
今後もっと出てくるでしょう。
急な温度低下が抗体産生を阻害するとありましたが、逆に低い温度から高くするとどうなるのか?
なかなか渋い質問です。魚種によって異なるようですが、上昇であってもやはり急激な温度変化では抑制されるでしょう。(抗体産生を直接検査した報告は無いが、、、)
抗体がクラススイッチしないのは硬骨魚類だけなのか?
軟骨魚類もしません。
二次応答は一次応答に比べて何倍の抗体を産生できるか?
一概に何倍とは言えないです。ケースバイケース。
HV=CDRとは?
Hypervariable領域はcomplementarity-detemining regionと同じ意味です。
ハチに2回目に刺されるとショック死すると言われているが、これも抗原抗体反応によるのか? また、クラゲやウニに刺された場合も同じ事が言えるのか?
まさしくそうです。ただし、IgEが産生されて、その反応が強すぎてショックとなります。クラゲに刺されても起きる場合があります。
http://www.locopoint.net/danger/jfish.html
ウニに刺されたら? わかりませんが、ウニを食べてアレルギーでショックに陥る人がいるそうです。
B細胞が抗体産生細胞に分化する過程はどのようなものか?
「免疫学の基礎」第4版13章「B細胞の抗体産生細胞への分化とサイトカイン」を読んで勉強しよう! 簡単には、IL-4, IL-5, IL-6などのサイトカインの働きによって分化する。
免疫応答においてなぜIgMが最初に産生されるのか? 構造的にはもっとも複雑に見えるが、、、
V領域をコードするエキソンのもっとも近い下流にIgMのC領域をコードするエキソン群が位置するからです。
なぜ魚はクラススイッチを起こさないのか?
IgT、IgM、IgDの遺伝子しかないから。IgMとIgDは一緒に転写されて同時に発現します。IgTとIgMはリンパ球の成熟時にどちらかが選択されて、後にスイッチすることはないと考えられます。
哺乳類が持つ5種類の抗体クラスは、生物界でも多い方に属するか?
最も多いですね。
魚のIgTは実際に発現していないのに遺伝子配列だけからなぜ抗体であるとわかったのか?
Igに特有なアミノ酸配列のパターンがあるからです。(キーワードはIg superfamily)
2009年5月20日水曜日
魚類免疫学Q&A090520
こちらより引用。
なぜ赤血球は無核なのだろうか。これも進化的に説明できる。無核の赤血球は哺乳類の特徴である。温血動物で酸素運搬機能に特殊化した結果なのだ。哺乳類の赤血球は他の動物の血球に比べて小さいし、それ自身の代謝活性が低く、エネルギーをあまり消費しない。細い毛細血管を通して体のすみずみにまで、酸素を運ぶことが可能なのである。
ほかに、核がない分、体積に比較して表面積が広く、細胞内外の酸素の交換に有利、という説明もあります。
魚類のリンパ球による食作用は、好中球の食作用と同じように行われるのか?また、貪食した異物を分解し、マクロファージのように抗原を提示するのか?
基本的に同じ。貪食したら活性酸素も作って殺菌する。抗原提示するかどうかはまだ未解明。
参考文献:Li J, Barreda DR, Zhang YA, Boshra H, Gelman AE, Lapatra S, Tort L, Sunyer JO. B lymphocytes from early vertebrates have potent phagocytic and microbicidal abilities. Nat Immunol. 2006 Oct;7(10):1116-24.
リンパ球がビーズを貪食したことがフローサイトメトリーでわかるか?
わかります。フローサイトメトリーで、前方散乱光も側方散乱光も弱い「リンパ球」集団について、蛍光ビーズの蛍光強度を測定すれば良い。
ラテックスを細胞が取り込んだら、その細胞が死んでしまうことはないか?
好中球は死んでいくでしょうが、マクロファージやB細胞は死なないでしょう。今のところ、食べ過ぎて破裂して死んだ、という細胞を見たことはありません。
ほ乳類と魚類のそれぞれにおいて、リンパ球とマクロファージ間の関連がよくわからなかった。
ほ乳類では、(1)侵入してきた異物(菌)を好中球やマクロファージが貪食する。(2)マクロファージは、貪食して分解した異物由来の分子(主にペプチド)を細胞表面に戻して提示(=抗原提示)。(3)提示された抗原をリンパ球が認識して、その抗原に対する特異的な獲得免疫応答が始まる、という流れです。
魚類では、少なくとも(1)に(たぶん(2)にも)Bリンパ球も参加すると予想されています。
好中球やマクロファージは自らが産生した活性酸素でダメージを受けないのか?
鋭い質問です。特に好中球はこれがおこります。好中球自身のみならず、周りの宿主細胞にもダメージを与えることが知られています。マクロファージでは、おそらく活性酸素を消去する酵素の働きで、自らに激しい障害を与えることはないそうです。
フローサイトメトリーとFACSの違い?
Flow Cytometory=FACS=fluorescence activated cell sorting
FACScanはベクトン・ディキンソン社のこの解析装置の登録商標。
参照ページ:http://www.bc-cytometry.com/
好中球の寿命が短いのは何か理由があるのか?
<調査中>
なぜマクロファージがプラスチック製のビーズを異物として認識するのか?
鋭い質問。答えはわかりません。プラスチックを特異的に認識する受容体がある訳ではない。(ほかには、炭素粒子=墨汁の墨粒も貪食される)
こちらの解説には、
白血球はまた、ラテックスビーズな
ども貪食します。この場合には異物表面の電荷が問題になります。細胞表面のシアル酸は
負の電荷を帯びています。それゆえ、正の電荷を帯びたラテックスビーズなどは静電的に白
血球に結合し、これが貪食を誘導します。
とありますが、ラテックスビーズ=ポリスチレンビーズなので、ポリスチレンには電荷はないはず。
(ところで、単にラテックスといったら合成ゴムのことをさす。たとえばラテックス手袋とか。語源はこちら。)
顆粒球が多形核をもつ意味はなにか?
<調査中>
白血球は(プラスチック)ビーズを取り込んでも分解できない気がする(→その通り!)。分解できない物は白血球はどうしているのか?
そのまま細胞内(ファゴリソゾーム)にとどまるでしょう。魚類では、そんなマクロファージは徐々に体表に移動し、やがて体外に捨てられるそうです。
好中球とマクロファージの間の感染局所への集合速度の違いは、それらの構造上の違いに由来しているのか?
<調査中>
なぜ、魚類ではBリンパ球に食作用があるのか? 魚類にあってほ乳類にない理由は?
はっきりとはわかっていません。現在の仮説は、「Bリンパ球とマクロファージは、進化的には食作用を備えた共通の祖先細胞に由来し、魚類ではB細胞に分化しても、祖先の性質が色濃く残っている」というものです。魚類ほど強力ではありませんが、両生類のB細胞にも食作用活性が認められるそうです。
好酸球の駆虫活性とは?
こちらに解説があります。
蠕虫類の感染において、虫の排出する抗原が、T細胞(Th2)や肥満細胞を活性化させ、それらの細胞からインターロイキン4(IL-4)が作り出され、その結果、B細胞から抗体(IgE)が作り出されます。IgEは抗原とともに肥満細胞に脱顆粒を起こさせ、好酸球を虫の近くに集合させます。寄生虫の周囲で、好酸球は抗体や抗原の作用によって、脱顆粒を起こし、リソゾーム物質、主要塩基性蛋白、活性酸素を放出して、寄生虫を処理しようとします。これを抗体依存性細胞傷害作用(Antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity: ADCC) と言います。そのために、蠕虫感染の場合には、血液中のIgE が上昇し、また、好酸球数が増加します。
蛍光強度と細胞数の関係がわかると何に役立つのか?
たとえば、今回話した蛍光標識ビーズの貪食活性ならば、どれほどの貪食活性を示す細胞がどれくらいの割合で存在するかがわかり、その活性の高い細胞濃度によって、(たとえば魚の)病原菌に対する防御活性を推し量ることができます。
海水魚は海だけでしか生きられず、淡水魚は淡水でしか生きられないのはなぜか?
調べてみて。キーワードは「浸透圧調節」。ちなみに、海水・淡水どちらでも生活できる魚種もかなりあります。参考文献はこちら。
ピタゴラスイッチに出てくるような装置を(講義で)作りましょう。
ハハハ、、、、と受け流しときます。代わりにアルゴリズムマーチはいかが?
ピタゴラスイッチのメロディーが頭から離れません。
そんな君にはだめ押しにこちら。
こんなのもいかがか?
魚類免疫学Q&A 090422
100℃に加熱してしまえば、リゾチウムはほぼ完全に変性・失活してしまいます。pHや共存するタンパク質、イオン組成にも依存しますが、卵白リゾチウムは60℃〜70℃くらいまでは安定であると報告されています。(20分程度の保温時間として)
卵を食べると、卵白に含まれているリゾチウムによって免疫力が上がるか?
変性してしまうほど加熱されていなければ、いくらかの抗菌効果は期待できるでしょうね。
バクテリアに似たアセチル基の分布をもつ分子がカブトガニなどの宿主には全く存在しないのか? 高密度のアセチル基の存在は微生物に特異的なのか?
アセチル基が高密度に規則正しい間隔で並ぶ、という空間配置は、およそバクテリアの細胞壁などの微生物由来と考えられます。
全ての微生物由来分子構造が、微生物に特異的である、とは言えません。私の経験では、コイの血清中には、免疫して無くてもウサギ赤血球に結合する抗体がしばしば含まれますが、コイがウサギ赤血球に出会うチャンスは天然では無いと考えられます。これは、ウサギ赤血球表面に存在するなんらかの(おそらく糖鎖構造)分子と似た分子を持つ微生物を、コイの免疫系が過去に認識したことがあるからだろうと考えられます。
実験中に、たとえばリゾチウムのコンタミなどの自己を防ぐような工夫をしないのか?
もちろん現在ではそんな汚染を防止する対策をしています。基本的には、手袋をする、マスクをするなどの注意の他に、汚染すると困るものを同じ実験台で使わないなど、様々な対策が考えられます。もしRNAを分離する機会があれば、このような汚染に対する注意が以下に重要であるかを体験するでしょう。
α2マクログロブリン(A2M)によるプロテアーゼ阻害機構は? また、A2Mは生体内のプロテアーゼには作用しないのか?
A2Mは、まずプロテアーゼに自分の一部の構造(特定の部位のペプチド結合)を切断させ、それによって自らがそのプロテアーゼを閉じこめるような立体構造変化を起こします。標的であるプロテアーゼに切断される部位を「Bait-region」と呼びます。
A2Mは、微生物などに由来する外来のプロテアーゼばかりでなく、内因性の(自分の生体内で合成した)プロテアーゼも阻害します。むしろプロテアーゼの種類を選ばない、と言えます。生体防御や凝固系で働くいくつかのプロテアーゼを阻害できることが判明しており、その阻害が各種生理機能の制御に重要であると考えられています。
チキンタイプと比較してグース型リゾチウムの利点は何か?
特にメリットといえる点は知られていません。
レクチンなどによって凝集された微生物が凝集したまま動き回ることはないのか?
そのような現象が観察されて例はありません。
抗菌ペプチドが体内で賛成されるものならば、長い歴史の間にそれに対抗できる(耐性)菌が生まれてもよいのではないか?
そうかもしれませんが、証拠はありません。でも、この質問(疑問)はとても重要です。もし耐性菌ができていないとすれば、なぜできなかったのかは重要です。
マンノース結合レクチンとコングルチニンの立体構造の違いに関連して、四量体と六量体という構造の違いによってなぜ機能に違いが生じるのか?
Good Question! 私たちは、糖鎖認識部位の向きによって機能が違うと理解していますが、完全な証拠に裏付けられているわけではありません。
新しく見つかった因子が何に結合するのかはどうやって調べるのか?
すごくスルドイ質問です。何か心当たりの成分(分子)があれば結合性を調べられます。方法のキーワードはたとえばBIACOREとか表面プラズモン共鳴、Quartz Crystal Microbalanceなどがありますが。相互作用する物質に心当たりがなければ、もっと網羅的に(=片っ端から)結合相手を探します。(インタラクトーム解析)。その方法にもいろいろありますが、調べるキーワードは、たとえば、ツーハイブリッド(Two hydrid)。
体内で働く抗菌ペプチドを、体外で抗生物質代わりに使うことがなぜ危険なのか?
体内では、抗菌ペプチドだけでなく他の免疫系も働いて菌が排除される(殺される)。菌と抗菌ペプチドの接触時間も短く、耐性菌が生じるチャンスがほとんどない。体外で使うと、加えた抗菌ペプチドと菌が長く、突然変異などで耐性菌が生じる機会が比較的増えるから。
親水性残基として酸性や非極性親水性のアミノ酸をもった抗菌ペプチドはないのか?
抗菌ペプチドは何故バクテリアを認識できるのか?
今のところは、そのような抗菌ペプチドは見つかっていません。少なくとも、抗菌ペプチドは塩基性から中性での荷電基を持つ両親媒性のペプチドであり、この性質は、作用すべき微生物の細胞膜表面の方が、宿主よりもマイナス荷電を多く持つこととよく一致します。なお、バクテリアが生産する抗菌ペプチド(バクテリオシン)は、多細胞動物が作る抗菌ペプチドとは異なる化学的性質と作用機構をもつようです。
バクテリオシン参考web
http://www.microbes.jp/dic/Content/ha013.html
http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/biosci-biotech/biseibutu/theme-bacteriocin.html
http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/biosci-biotech/biseibutu/theme-nukacin.html
知らない単語が多くてその説明が書かれていないので、初出の単語の説明をなるべくして欲しい。
できるだけそのように務めます。後日詳しく説明する語句をとりあえず紹介しなければならない場合もあるんですけど。
CタイプレクチンはなぜCaイオンを必要とするのか?
分子内にCaイオンと結合する部位があり、ここにCaイオンが配位することで正常な機能を果たす立体構造を保つことができるためです。通常、体液中には2-3 mMのCaイオンが含まれていますが、これはCタイプレクチンのようなCa要求性のタンパク質にとっては十分な濃度です。
今日(4/22)習った免疫系は全て人体にあるのか?
あります。抗菌ペプチドの細かい種類などには違いがあるけれど。
Type Iインターフェロンが活性化するNK細胞とはどんな細胞か?
NK=natural killer細胞は、免疫刺激が無くとも、もともとガン細胞やウイルス感染細胞などを殺す能力を備えたリンパ球の一種。
動物リゾチウム以外にも動物の免疫因子が人間の生活に役立っている例はあるか?
たとえば、さまざまな動物にある抗菌ペプチドを、抗菌性の医薬や食品保蔵に使おうという試みはあります。
(特許の例)http://jstore.jst.go.jp/cgi-bin/patent/advanced/detail.cgi?pat_id=7642
また、マウスの細胞を使って作成するモノクローナル抗体は、医薬や試薬として広く利用されています。
授業の最初と最後にもっとマクロなレベルでの各キーワードの関係を示して欲しい。
全体の流れをつかみたい、ということね。工夫してみます。が、自ら質問することによっても、情報を補って下さい。
HIV感染者は口中にカビが生えてしまうと聞いたことがあるが、唾液に含まれるリゾチウムやレクチンがなくなって免疫不全に陥るのか?
人の場合、AIDS患者の口腔内でCandida感染を防げなくなることがあるそうですが、これはヒスタチンという抗菌ペプチドの濃度が低くなっていることと関係があると言われています。なぜヒスタチンレベルが減るのかは不明(私が知らないという意味)。
現在、抗菌ペプチドに耐性を示す菌が確認されているか?
天然ではまだのようですね。実験室内で人為的に誘導された耐性菌株はあります。一方、バクテリアが作る抗菌ペプチド(バクテリオシン)に対する耐性菌は存在します。
http://www.ipc.shimane-u.ac.jp/human_life/aso/project2.htm
抗菌ペプチドの耐性菌の耐性獲得メカニズムは?
作用機構があまり分かっていないので、耐性獲得機構もよく分かっていません。今後重要な研究テーマです。参考Web
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/sa-to/joetutrial-08.htm
魚類免疫学Q&A 090513
哺乳類と異なる点は、
1.補体が直接標的細胞を殺す活性を持たないこと。(C5〜C9がないので)
2.抗体を持たないので、古典経路がないこと。
まだまだあるでしょうが、それは現在調査中。
補体による細胞傷害を受けた細胞は、その後白血球に食べられたりするのか?
粒子状の異物が生きていようが死んでいようがそのまま体内に放置されることはなく、食細胞で処理されます。
C3といろんな(活性化)経路との繋がりがピンと来ない。
C3を活性化するためには、C3→C3a + C3bに分解する特異的なプロテアーゼが必要。そのプロテアーゼを形成する反応が、各活性化経路です。C3bは溶解経路(=細胞傷害経路)の最初の成分C5を活性化するために働きます。
補体は血清中にしか存在しないか?
その他の体液にも存在すると考えられますが、血清中とまったく同じ状態かどうかは分かりません。
カブトガニは食べるとどんな味がするのか?
私は食べたことがないので、理学部の川畑先生に聞いてみましたよ。下記がそのお返事です。
-------- Original Message --------
Subject: Re: 質問
Date: Fri, 15 May 2009 13:04:14 +0900
From: Shun Kawabata
Reply-To: skawascb@kyudai.jp
To: mikimnakao@kyudai.jp
中尾様
中国、タイなどではいまでも料理屋さんで出るそうです。たしか生化学工業の方
が中国で食べたことがあるようなことを聞いたことがあります。食べる部位は、
カニみそに相当する肝すい臓です。中国料理の場合、香辛料をかなり混ぜるよう
ですので、あまり本来の味ではないでしょうが、食感はたぶんカニみそでしょ
う。筋肉はカニとちがってほとんどついていませんので、食べるところはないで
しょう。
川畑俊一郎
白血球を計数は、(水族生化学の?)研究室でよく行われる実験か?
食作用活性を測る以外にも、リンパ球の増殖を調べるなど、しばしば白血球を計数しています。(杣本先生が専門家)
C3から第二経路に進むときにどんな反応が起こるのか?
説明を端折りました。かなり複雑なので。
補体を持たない動物は代わりにどんな物質を用いているのか?
抗菌ペプチドの殺菌作用、ある種のレクチンによるオプソニン作用が考えられます。また、昆虫などではフェノールオキシダーゼ系による殺菌機構も備わっています。(微生物感染や傷に応答してメラニンを合成する途中で、様々な抗菌性の分子が産生される。)
補体の大腸菌への結合は大腸菌が細胞に結合する機構に似ている?
そうでもない。大腸菌が宿主?細胞に結合するのは、かなり特異的な受容体タンパク質を介して、非共有結合的な相互作用によります。
補体をもつ生物どうしで補体を比較すると何が見られるか?(=どんなことがわかるか?)
種を越えて大事な補体の基本的な反応機構と機能。各動物の生育環境に応じた補体の進化。
補体の膜侵襲複合体によって孔を明けられて死んだ異物はどのように観察されたか?
電子顕微鏡で観察されてます。補体だけで孔をあけられて簡単に死んでしまう細菌は、実は少なくて、多くの病原性細菌はなかなか死なない。(だからこそ病原性なのかもね。)
C3以外の補体の分子的仕組も気になった(=C3以外の補体成分の反応の仕組みにも興味が湧いた?)C3のC3aとC3bへの限定加水分解のメカニズムをもっと詳しく知りたい。
各活性化経路で、C3に対して非常に特異的なプロテアーゼ複合体が形成されます。
詳しくは、参考書とWeb情報を。
http://ja.wikipedia.org/wiki/補体
http://www.med.hokudai.ac.jp/~bac-w/
「免疫学の基礎」(小山・大沢)東京化学同人
http://www.amazon.co.jp/免疫学の基礎-小山-次郎/dp/4807905996
極めたい人は、「水族生化学分野で卒論・修論・博士論文研究を行う。」
C3の立体構造について知りたい。
参考文献
Janssen BJ, Huizinga EG, Raaijmakers HC, Roos A, Daha MR, Nilsson-Ekdahl K, Nilsson B, Gros P. Structures of complement component C3 provide insights into the function and evolution of immunity. Nature. 2005 Sep 22;437(7058):505-511

C3分子の立体構造(リボンモデル):C3とC3bの立体構造模式図(C3中の△、C3b中の赤点がチオエステル部位。かなり位置が変化している。)
C3がα鎖とβ鎖に別れてジスルフィド結合していることには何か意味があるのか?
立体構造を見ると、αとβに別れているので、それぞれが都合の良い空間配置を取って、機能部位を必要な位置に定位させているようです。αとβに分離してない、未成熟なC3(proC3)はまったく活性を示しません。
異物の表面以外にもOH基はありそうだと思うが、そこにはエステル結合することはないのか?
(Good question! スルドイ。)
原理的にはあります。C3bのチオエステル自体は、水酸基なら何でも結合します。ただし、自分の細胞上には、仮にC3bが結合しても直ちに分解してしまうようなタンパク質が発現していますので、自己細胞に多量のC3bが結合することを防いでいます。ただし、傷ついた組織やある種の自己免疫疾患やアレルギーではこのような制御が効かず、補体によって自分の組織が損傷を受ける場合があります。
補体の膜逆侵襲複合体の構造が興味深かった。(この形成過程がよく分からなかった。)
1.C5は活性化されてC5bになると、疎水的な残基を表面に露出して標的細胞膜に疎水的に付着する。
2.C6、C7はC5bに親和性を示し、標的細胞に付着したC5bに非共有結合的にくっつき、立体配座(コンフォメーション)を変化させる。
3.C8はコンフォメーションが変わったC6やC7に親和性を示して結合し、自らのコンフォメーションを変化させ、さらに標的細胞膜の脂質二重層に埋まり込む。
4.多数(4〜8分子)のC9が、脂質二重層に挿入されたC8に親和性を示して、集合し、C9同士も凝集してコンフォメーションを変え、疎水性の表面を顕し、脂質二重層にさらに埋まり込んで膜に孔をあける。
……って誰か見てきたみたいな説明が教科書にのってます。
C3は一度結合したら外れないのか? 水と結合した後でさえもリサイクルしないとなると相当量のC3が血清中には存在するのだろうか?
自然には外れませんが、血清中にC3bを分解するプロテアーゼが備わっているので、徐々に分解されます。それでもチオエステル部位で共有結合した部分は残ります。 活性化される前のC3のチオエステルはそれほど水などの水酸基とは反応しません。C3bに分解されると、チオエステル部位が露出して反応性となります。一度C3bになっても異物に結合し損なうと、水と反応してさらに前述のプロテアーゼによって分解されますので、推察するようにC3は沢山必要とされます。血清濃度の高いタンパク質の一つです。(1 mg/ml)
今回の授業の内容はヴォートで勉強できるか?
ヴォートには補体の記述はありませんが、プロテアーゼの構造と機能、タンパク質の機能(II)などの章は、補体の反応を理解する基礎として重要です。
EDTAの正式名称は? キレートとは?
Ethylenediaminetetraacetate キレート=chelate
http://ja.wikipedia.org/wiki/キレート
http://ja.wikipedia.org/wiki/エチレンジアミン四酢酸
なんで教授はMacを使う人が多いのか?
さて? 私は(1)昔から慣れているので (2)Winが嫌いなので(使いにくいと感じる) (3)Microsoftとビルゲイツが嫌いなので などの理由。以前はよくFreezeして呪っていたが、OS10.4からはとても安定していて安心感があります。
C3aの濃度勾配を、白血球はどのように認識するのか?
C3aを特異的に認識する受容体が細胞表面に発現していて、それにC3aが結合すると細胞の運動性が増す。
Mr. ビーンが好き?
古い作品は好きです。なかなかいいね、Rowan Atkinson。
http://en.wikipedia.org/wiki/Rowan_Atkinson
補体の成分はC1-C9の9種類だけ?
他にもあります。哺乳類だと全部で30種くらい。
サンダーバードのパロディーのウケは国によって大きくことなる?
よくわからないけど、アジアでウケたことはない…
プリントに要点しか書いて無くて、詳しい内容を復習するときに使いづらい。
補足情報は私の講義を聴きながら自らノートをとるなどしてください。必要なら質問する/参考書を参照するなども吉。
マツカサ病の治療法は?
立鱗病(運動性エロモナス症)ですか、、よくわかりませんので、下記Webを参照して。
http://www7.ocn.ne.jp/~ranncyuu/eromonasu.html
2009年4月21日火曜日
魚類免疫学Q&A 090415
病原体に感染した時期の違いによって、免疫の強さに違いがあるか?
感染後、あるいはワクチン接種後時間がたてばたつほど、免疫力は低下する傾向にありますが、どの程度免疫力が持続するのかは、その病原体によっても違います。また感染・接種ルートによっても異なります。
「免疫力が弱っている」状態では、免疫系にどんな変化が起こっているのか?
非常に難しい質問です。いろんな白血球の活性が下がっていたり、抗体の濃度が下がっていたり、というのが考えられますが、免疫因子の完全な欠損状態を除けば、実際には何処がおかしくなっているのか、はっきりとはわかっていません。
獲得免疫をもつ有顎脊椎動物以外に動物は、自然免疫だけで生きているのか?
そうです。だから自然免疫の力を侮る事なかれ、ということですね。もっと自然免疫を学ぼう、という動きが活発になってきました。
病原微生物はは、どのような作用で魚に病気を引き起こすのか?(病原体自身が分泌する物質による?)
作用はいろいろですが、毒素を放出して細胞・組織を壊す・阻害する、という作用の他に、身体の免疫系をかく乱し、過剰な免疫反応を起こさせることによって病気にする場合もあります。
スライドが見にくい!!!!!
ゴメン。これからもう少し部屋を暗くしてみます。それでもダメなら、もっと調子の良いプロジェクターを持ち込みます。
寄生虫がいると魚は死ぬのか? 宿主が死ぬと寄生虫はどうなるのか? タイの口の中によく虫がいるけど、あれでは餌が食べにくかろう、、、
衰弱させる、二次的な感染症のリスクを高める、直接致死的に働く、など作用はいろいろです。
タイの口の中にいる虫=タイノエですね。
http://www.city.kawasaki.jp/35/35hosyo/home/jiken-tainoe.html
http://crossbreed.jp/archives/200801111230.php
魚用の麻酔って?
キナルジン、オイゲノール、フェノキシエタノール、MS-222など。詳細はgoogleで検索してみて。
魚類の免疫研究で人間に応用できたものはあるか?
魚類で見つかった免疫因子をヒトの薬につかう、などの直的的な応用はまだ少ないです。でも、強力な抗菌ペプチドが魚類から発見されて、抗菌薬への応用されるなどの例はあります。それよりも、人間への応用としては、人間の免疫系をよりよく理解するために、魚類の免疫系と比較してみる、というアプローチが大事。
アレルギーについて詳しく知りたい。
この講義シリーズの後半で触れるでしょう。
ウイルスのワクチン開発がどのように行われるのか?
1.病原ウイルスが何であるかを同定 2.ウイルスの大量増殖法を開発(培養細胞? 鶏卵?)
3.ウイルスの遺伝子構造を解明 4.感染力や病原性を左右する遺伝子・タンパク質を同定
などなど沢山の基礎研究を経て、試作品がつくられ、数多くの動物実験と臨床試験を経て開発されます。
参照:http://www.nibio.go.jp/topixs/vaccine/
試験は難しいですか? 特に注意して学ぶべきコトは?
何が大事かをよく考えながら話しを良く聞くこと。
試験の難易度はひとそれぞれ。
ワクチンには食品衛生学的、公衆衛生的な問題はないのか?
人間のワクチンは食べ物ではないので、食品衛生学的な問題は馴染まない。魚類のワクチンは後に人間の口に入る可能性があるので、食品としての注意が必要。公衆衛生学的な問題が何かは判然としない。
犬・猫アレルギーの原因物質は? なぜ、特定の動物に対してだけアレルギーになるのか?
それぞれ毛や皮膚の破片(フケ、垢)を構成するタンパク質の構造が異なり、それらを人間の免疫系が見分けているから。
生まれつき風邪を引きやすいなど、ある種の病気になりやすさと、自然免疫の能力とは関係があるか? 自然免疫を強化することはできるか?
関係あるでしょうね。自然免疫を強化する、というふれこみの機能性食品や栄養補助食品はあります。効果は、あったりなかったり。個人差があるでしょうね。
養殖場で1尾1尾の魚にワクチンを注射するのは面倒ではないか?
面倒ですが、有効で経済的に折り合えば実施します。もしもっと簡便な方法が開発されればもっともっと普及するでしょう。こういうのも大事な研究だと思います。
