2011年6月1日水曜日

魚類免疫学 Q&A 110518

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Q IgGIgDのドメイン数は同じだが、どこが異なるのか?
A 基本的なIgらしいアミノ酸配列を保持し、Igドメインの数も同じですが、互いに30%以下のアミノ酸配列同一性しか示しません。

Q IgMIgAがオリゴマーになる理由は何か?
A IgMは、H鎖のCH4ドメインンのC末端付近にあるCysが鎖間でジスルフィド結合を形成して五量体(哺乳類)となります。IgAは、J-chainと呼ばれる分子量約15 kDaのポリペプチドに2分子のIgA H鎖がジスルフィド結合することによって二量体化します。五量体IgMにもJ-chainが含まれますが、五量体化にはJ-chainは必須ではありません。

Q 抗原と抗体が大きな凝集物を作ったら、その塊は生命現象を阻害したりしないか?
A 大きさによるでしょう。過剰な免疫複合体は、組織に沈着しやすく、自己免疫疾患やアレルギーの原因になることがあります。(例:糸球体腎炎など)

Q 抗体のクラスによる化学的性質の違いは?
A 等電点、分子量などが異なりますが、純粋に化学的な性質と言うよりも、生物学的な性質(生体内での機能)の違いが重要です。

Q 魚類で最も多く作られるIgMの方がIgDよりも複雑な構造をもつのは何故か(大量に必要なものは簡単な構造になるように進化しなかったのはなぜか)?
A IgMIgDは両方とも進化的には祖先に近い抗体です。高等動物では、IgDのように分子量の小さなクラス(IgGIgA)が量的に沢山作られますので、「大量に必要なものは簡単な構造になるように」変化したと言えるでしょう。

Q ラクダの抗体にはH鎖しかないために不利な点はないか?
A ラクダの生存にとってなんら不都合はないようです。

Q 抗体産生において環境温度の影響を受けるのは硬骨魚類だけか?
A 変温動物には同様な傾向があるでしょう。

Q ヤツメウナギ(円口類)は抗体をもたないのにどうやって抗原(微生物)から身を守っているのか?
A 自然免疫因子と、円口類特有の抗体様分子が働いていると考えられます。興味がある人は、「Variable lymphocyte receptor」で検索してみて。

Q B細胞の分化の詳細を知りたい。
A 参考資料をどうぞ。
http://lifesciencedb.jp/dbsearch/Literature/get_pne_cgpdf.php?year=1998&number=4302&file=DXEWJQweka1Om1vrWQpSXQ==

Q 魚類は水中にいるの、空気中で生活する人間と同じタイプの免疫を持っていてそれが正常に働くのだろうか?
A 必ずしも同じタイプの免疫とは言えないでしょう。似た分子を使ってはいますが。

Q (抗体の)ドメインの大きさは一定か?
A 一つのIgドメインはおよそ100アミノ酸で、分子量1213 kDa

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