2009年6月10日水曜日

魚類免疫学Q&A090603

同じ抗原に対するB細胞でもIgMと作るものとIgGを作るものが同時期に存在するか? あるいはどのB細胞においてもクラススイッチが同時期に起こるのか?
ある程度オーバーラップします。全てのB細胞が一度にそろってクラススイッチしてしまうわけではないので。

すべての抗体は膜型と可溶型が存在するのか?
IgMとIgDのみ。

膜型と可溶型の機能の違いは?
抗原特異性に変わりはないが、たとえば膜型抗体は補体を活性化することはできないし、B細胞以外の細胞に認識されることもない。

魚にもアレルギーがあるか?
わかりませんが、細菌感染によって出血性の激しい炎症が起きる場合があるので、あれは一種のアレルギーでしょう。ただしIgEはないので、哺乳類で起きる「I型アレルギー」はないでしょう。(アレルギー反応の詳細は後の授業で触れるはず。)

クラススイッチが起こる条件・メリットは?
条件:つよい抗原刺激(たとえば感染状態)が続くこと。
メリット:抗体が働く部位・産生する部位に適した機能をもつような抗体のクラスを作ることができることがメリットと考えられます。

IgMよりもIgGが優れている点は?
大量に合成されて血中に放出されること。胎盤を通過できること。ある種のリンパ球やマクロファージを活性化して抗体依存性の細胞傷害反応(異物の細胞を殺すこと)を誘起できること、など。また、一般的にIgMよりも抗原に対する結合親和性が高い抗体に変化している場合が多い。

花粉症ではなかった人も、後天的に花粉症になることがあるが、なぜか?
おそらく、クラススイッチを制御する機構がだんだんと不全になって、IgEを作るようになってしまうからでしょう。(自分でも是非調べてみてください。)

サイトゾルとは?
細胞質内の、細胞内小器官以外の液体部分。
http://ja.wikipedia.org/wiki/細胞質基質

L鎖のLeader領域は何のために存在するのか?
L鎖を細胞外に分泌させるためのシグナルとして働く。

IgMのサイズは、IgE5個分くらいのサイズか?
サイズはおよそそれくらい。

スライド3のFig. 2の膜型抗体の左右にある膜蛋白質分子は何か?
詳しくは述べませんが、膜型抗体(別名BCR)には細胞内に活性化シグナルを伝達するための分子が会合しています(MB1、B29、非受容体型チロシンキナーゼなど)。それらが図の中に含まれていました。

抗体は自分自身で作ったものしか働かないか? 食べたら分解されるか? 注射したら?
他の個体から抗体をもらって働かせることができます。ヒトγグロブリン製剤はヒトの抗体を静脈内に点滴して、感染症を防ぐために使われます。また、ヘビ毒に対するウマ抗血清(抗体を含むウマ血清)は、ハブ、マムシ、コブラなどの毒ヘビに噛まれたときの救命用に注射されます。ただし、ウマ抗体はヒトにとって異物なので何度も打つことはできません。抗体を食べたら消化されますね。例外はIgA(プロテアーゼに抵抗性)。だから、IgAを含む母乳を飲むと、母親で成立していた免疫の恩恵を赤ちゃんが受けることになります。だから、乳児はそれほど感染症にならない。

硬骨魚類でIgM産生細胞がIgTを作れないことはわかったが、その逆はなぜ不可能なのか?
するどい質問!! まだわかっていません。

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